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自分を「棚卸し」する時間。ヒアリングシートに込めた「私の意思」

8月15日
読了時間: 5分

更新日:9月15日



埋められるところから、少しずつ


契約を無事に終えて手渡されたのは、自分自身の情報を一冊にまとめるための「ヒアリングシート」でした。担当者の方からは「埋められるところだけで大丈夫ですよ。わからない箇所は次回の面談で一緒に仕上げましょう」と優しい言葉をいただきました。

帰宅してページを開いてみると、思いのほか項目が細かく、「これは一度には無理そうだな」と早々に白旗を上げ(笑)、まずは軽い気持ちで書き始められるところから手をつけることにしました。


 

シートに並ぶ、人生の「もしも」の項目


シートには、自分が動けなくなったときや、いなくなったときに必要な情報が「ここまで決めるの?」と思うほど細かく項目が並んでいました。


  • 基本情報・家系図: 住所や電話番号、公的証明書の番号。そして遺影にもなり得る本人の写真(これは後からの変更も、お気に入りの一枚の指定も可能です)。


  • 連絡網: 入院、介護、そして逝去時。それぞれの段階で「誰に」知らせてほしいかのリスト。


さらに印象的だったのは、この「連絡」が机上の話ではなく、実際に機能する仕組みとして用意されていたことです。


契約時には、緊急連絡先が記されたカードを3枚手渡されました。

「外出先で万が一のことがあった際、警察や病院はお財布の中を確認しますから」と、常時携帯を勧められます。

このカードは、いざという時にプロが介入するための“起動スイッチ”のようなもの。

さらに、その番号を私の緊急連絡先である弟にも共有しました。

「この番号から電話が来たら、私に何かあった証拠だから、絶対に着信拒否しないでね」と。

こうした事前の「根回し」もまた、大切な準備の一つなのだと実感しました。


改めてシートに目を戻すと、まだまだ整理すべき項目は続きます。


  • 資産・契約情報: 銀行や不動産、サブスクなどの定期支払一覧。ここで、特典目的で作ってすっかり忘れていたクレジットカードを「発掘」し、期せずして身の回りの棚卸しができました。


  • 供養・ペット: 埋葬場所の希望や、ペットの預け先など。


資産の整理はスムーズでしたが、医療や葬儀の細かな希望については、自分がいかに「ざっくり」としか考えていなかったかを痛感させられました。結局、自力で埋めるのは早々に諦め、情報を書ける欄だけを埋めて面談に臨むことにしました。



筆が止まった「漠然とした想い」と、プロの伴走


2回目の面談では、担当者の方と一緒に空欄を埋めていきました。そこで言われたのが「まずは『今』どう考えているかをベースに教えてください」ということでした。

このシートは一度書いたら終わりではなく、年に一度の面談で「今」の想いに合わせてアップデートしていく「生きたデータ」だからです。常に情報を最新化していく前提なので、気負わずに「今の考え」を書くことが重要なのだそうです。

自分一人では筆が止まってしまった「医療方針」や「葬儀」についても、プロのアドバイスが、止まっていた思考を少しずつ前に進めてくれました。


  • 医療方針: 延命や蘇生をどうするか。40代後半という年齢を考え、「治る見込みがあるなら、お子さんのためにも治療を選択肢に入れては」という客観的な助言をもらいました。「とにかく痛いのは嫌」といった素直な希望も書いてOKとのことで、心が軽くなりました。


  • 葬儀の希望: 「やらなくてもいいけれど、やるなら神式がいいな」という漠然とした想いも、そのままのニュアンスで残せると聞き、安心しました。



「私の希望」をごり押ししない、という選択


ここでふと疑問が湧きました。私の意思と、残された子どもや親族の意見が食い違った場合、どちらが優先されるのか、と。

例えば私が「遺品は全部捨てていい」と思っていても、遺族には「思い出として残したい」という気持ちがあるかもしれません。私がいない場所で、私の意見がごり押しされるような事態は避けたかったのです。


これに対し担当者さんは、「基本は個人の意思を尊重しますが、必ずご家族とも相談して決めます。無理に押し付けることはありません」と答えてくれました。

「基本はこうしたいけれど、最終的には家族の意向に任せます」と書いておく、いわば「お任せ戦法」も有効だとのこと。自分の意思を伝えつつ、プロが間に入って家族の気持ちも大切にしてくれる仕組みに、深い安心感を覚えました。



ピースが繋がり、形を成していく手応え


こうしてヒアリングシートが完成し、私の「今」の意思がすべて可視化され、信頼できるプロと共有することができました。(少し残った「宿題」は次回までの持ち越しとなりましたが!)

この面談では、資産をどう分けるかといった「公正証書遺言」のベースとなる考えも整理しました。

次は、これらを法的な効力を持つ一通の案へと落とし込んでいくステップです。また一つ、パズルのピースがパチリとはまり、形が見えてきた感覚がありました。


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